開発生産性を経営資産として捉え直す新たな考え方、「AI時代の開発資本」策定プロジェクトを開始
エンジニアプラットフォームを提供するファインディ株式会社(東京都品川区、代表取締役:山田 裕一朗、以下「当社」)は、AI関連投資の予算に関与している方を対象とした実態調査(以下「実態調査」、n=435)にて、企業のAI投資の配分に関する調査を実施しましたので、その結果をお知らせします。本調査を通じて、日本国内のAI関連への投資の実態を明らかにするとともに、今後の展望を考察します。
全社のAI関連投資で最も金額が大きい費目は、「AIサービス・SaaSツールのライセンス料」31.8%、「AI向けインフラ・計算資源」17.8%、「AI API利用料(従量課金)」16.8%で、これらを合わせると66.4%に達した。一方、自社開発の人件費・外部委託・教育研修という【作る・育てる側】は27.1%にとどまる。API従量課金を上位3費目に挙げた企業は47.7%と約半数に達している。
AI投資の成果として最も重視する指標は、コスト削減・スピード・品質向上の3項目で54.2%を占めた。対して「売上・利益への貢献」「顧客満足」「新しい事業・サービスの創出」は合計23.4%にとどまる。とくに新しい事業・サービスの創出を最重視する企業は3.7%と、8指標中の最下位だった。
AIが生成したコードに起因する不具合について、「比較できる実績・データがない」と答えた開発組織は35.9%で、非開発部門の16.8%の2倍以上。その理由は技術やツールの不足ではなく、経営から効果説明を求められていないこと(38.3%。それ以外の層は4.8%)にあった。一方で経営側では、「判断できる材料がない」がは5.8%にすぎず、「データはあるが経営と開発現場で見ている指標が異なる」が40.7%を占めている。
【AI投資に関する実態調査】
※ 本調査はファインディ株式会社の利用ユーザーに対する調査ではないことにをご留意ください。
全社のAI関連投資額について前年度比を尋ねたところ、「大幅に増加(1.5倍以上)」が28.0%、「増加」が53.3%となり、合わせて81.3%の企業が投資額を増やしていることがわかりました。一方、「減少(減少1.9%+大幅に減少0.9%)」は2.8%にとどまり、企業のAI投資が拡大基調にあることがうかがえます。
年間規模では「5,000万円以上」が56.1%、「1億円以上」が36.4%を占めました。一方、企業規模による差は大きく、従業員1,000名以上では「5,000万円以上」が75.4%に達したのに対し、300〜999名の企業では26.2%でした。中大企業を中心にAIへの大型投資が進む一方、中堅企業では投資規模が相対的に小さい傾向が見られます。


全社のAI関連投資のうち金額が大きい費目を1位から3位まで挙げてもらったところ、「最も多い費目」だったのは「AIサービス・SaaSツールのライセンス料」31.8%でした。次いで、「AI向けインフラ・計算資源」17.8%、「AI API利用料(従量課金)」16.8%、「自社開発の人件費」12.1%、「外部委託・コンサルティング費用」7.5%、「教育・研修費用」7.5%となりました。
前三者を【AIを利用・稼働させるためのコスト】、後三者を【AIを作る・育てるコスト】として束ねると、66.4% 対 27.1%です。現時点のAI投資は、作る・育てる投資ではなく利用・稼働させる投資であることが数字として表れました。
特に注目されるのは、API従量課金を上位3費目に挙げた企業が47.7%と約半数に達した点です。従量課金型のAPI利用料は使うほど積み上がり、固定のライセンス料と違って月次の変動として経理に現れます。トークンコストがすでに管理の対象になっていることを示しています。

AI関連予算の持ち方は、「全社一括の予算枠がある」が56.1%で最も多く、「部門ごとに予算を持つ」が27.1%、「両方がある」が10.3%でした。また、部門側から見ても、「一定金額までは部門裁量」が57.0%、「都度全社の承認が必要」が22.6%で、部門が自由に決められるのは11.6%にとどまりました。
こうした結果から、AI関連コストは、各部門だけで完結する費目ではなく、経営レベルで管理すべき重要な投資項目になりつつあると考えられます。
10の業務領域について今後1年のAI投資方針を尋ねたところ、「強化する」と回答した割合が最も高いのは「情報システム」の69.2%でした。次いで、「ソフトウェア開発・エンジニアリング」が56.1%、「商品企画・プロダクトマネジメント」が50.5%、「研究開発」が48.6%となりました。一方、バックオフィス領域では「現状維持」が約半数を占めています(人事・総務53.3%、経理・財務・法務47.7%)。
また、「縮小する」と「撤退する」の合計は全10領域で1割以下にとどまりました。AI投資が明確に切り捨てられている領域はまだなく、現段階では配分の組み替えというよりも、重点領域への投資を強化しながら全体として活用を継続する姿勢がうかがえます。
投資を強化する理由の上位は、「コスト削減が見込めるから」50.5%、「人材不足を補うため」46.2%、「競合他社の動向への対応」40.9%と続きました。「効果が実証できた領域だから」は39.8%の4番目にとどまりました。コスト削減への期待や人材不足への対応が先行し、効果の実証は後追いになっている状況がうかがえます。

AI投資の成果として最も重視する指標を尋ねたところ、「コスト削減」26.2%、「スピード」17.8%、「売上・利益への貢献」15.0%、「品質向上・ミスの低減」10.3%の順となりました。業務・オペレーション改善に当たる3項目(コスト削減・スピード・品質向上)で54.2%、事業アウトカムに当たる3項目(売上・利益、顧客満足、新規事業の創出)で23.4%となりました。
なかでも、「新しい事業・サービスの創出」を最重視する企業は3.7%で、8指標中の最下位という結果となりました。
この構造は投資規模を問いません。AI投資が増加している企業に絞っても「業務・オペレーション改善」の59.8%に対し、「事業アウトカム」は21.8%、年間1億円以上を投じる企業でも事業アウトカムを重視するのは23.1%にとどまっています。

AIの用途別に、その用途を実際に使っている人を対象として効果を尋ねました。「文書作成・要約」80.7%、「情報検索・調査」76.8%、「データ分析」74.6%と、定型的な情報処理では利用者の75〜80%が効果を実感し、期待外れは5%前後にとどまっています。
一方、「企画・アイデア出し」は効果実感が65.4%まで下がり、「期待したが効果が出なかった」が15.7%と全8用途で最も高くなりました。「企画・アイデア出し」の利用率は56.4%と高い部類にあり、使われてはいるものの、期待した成果とのギャップも生じやすい用途であることがうかがえます。
意欲と成果の乖離も見られます。商品企画・プロダクトマネジメント領域への投資強化は50.5%と10領域中3位である一方、「新しい事業・サービスの創出」をAI投資の成果として最重視する企業は3.7%、成果が出ているとする企業も49.5%で最下位帯でした。
なお、現場が挙げるAI活用の障害は、「使いこなすスキルが不足している」53.7%、「セキュリティ上の制約」43.9%、「業務プロセスが整備されていない」32.0%と続きました。「AIの回答精度が不十分」は29.6%の4番目でした。AI自体の性能よりも、利用者のスキルやセキュリティ、業務プロセスといった、AIを活用するための組織・運用面の環境整備も主要な課題として認識されています。

開発部門に対し、AIが生成したコードに起因する本番環境での不具合・障害が、人の書いたコードと比べてどの程度発生しているかを尋ねたところ、最も多い回答は「比較できる実績・データがない/把握していない」で35.9%でした。
一方、非開発部門に業務上のミス・やり直しについて同様の趣旨で尋ねたところ16.8%にとどまりました。両者の差は19.1ポイントで、開発部門ではAI利用による品質への影響を比較・把握するためのデータが整っていないケースが、非開発部門よりも多いことがわかりました。

AI起因の不具合について「比較できる実績・データがない/把握していない」と回答した層の特徴を、それ以外の層と比較しました。その結果、「経営から効果説明を求められていない」が38.3%で、それ以外の層の4.8%を大きく上回りました。また、「部門でAI活用の効果を測定していない」も36.2%となり、それ以外の層の4.8%との差が目立ちます。
この結果から、AI起因の不具合を把握できていない背景には、技術やツールが足りないのではなく、説明責任が課されていないという組織構造の問題が浮き彫りとなりました。
さらに、測れていない層のほうが可視化ツールへの利用意向が低いという結果も出ました。可視化ツールを「ぜひ利用したい」と回答した割合は21.3%で、それ以外の層は42.9%でした。経営への説明方法別に見ると、定量的な指標で説明している組織では可視化ツールを「ぜひ利用したい」と回答する割合が64.7%に達した一方で、経営から説明を求められていない組織では9.1%にとどまりました。可視化のニーズは、データ不足に困っている層ではなく、すでに経営への説明責任を担い、定量的な評価を行っている組織で強く現れる傾向が見られます。
開発領域のAI投資の効果について、経営としてどの程度把握できているかを尋ねたところ、「判断できる材料(指標・データ)がない」はわずか5.8%という結果になりました。最も多いのは「経営と開発現場が共通の指標・データで議論できている」で44.2%、「データはあるが、経営と開発現場で見ている指標が異なる」が40.7%と僅差で続きました。
この結果から、開発領域のAI投資を評価するうえでは、市場の課題はデータの欠如ではありません。データはあるのに、経営が見る指標と現場が見る指標が噛み合っていない。これが4割の企業で起きています。
この状態は、他社と比較できる経営指標の保有状況と関係しています。経営と開発現場で共通の指標が揃っている層では「全社的にROIを測定できている」が63.2%であるのに対し、指標がずれている層では22.9%にとどまりました。
また、開発体制による違いも見られます。ソフトウェア開発を主に自社内の開発部門が担っている企業では、経営と開発現場が「共通の指標で議論できている」と回答した割合が57.1%でした。一方、グループ会社・子会社が関わる企業では27.0%となり、30.1ポイントの差が生じています。
なお、開発組織の生産性・健全性を他社と比較可能な経営指標として把握したいかを尋ねると、「すでに把握している」31.4%、「ぜひ把握したい」57.0%、「やや把握したい」10.5%で、必要性を否定した企業は1.2%にとどまっています。

以下は調査結果ではなく、結果を踏まえた当社の見解です。
本調査の結果は、「AIが企画に使えない」という話ではありません。「企画・アイデア出し」の利用率は56.4%と高く、利用者の65.4%は効果を実感しています。アイデアを広げたり、発想の幅を増やしたりする「発散」そのものには確かな価値があります。
一方で、課題は別のところにあります。AIが出したアイデアが、そのまま事業成果になることは極めて稀だということです。アイデアを出す量は増えた一方で、それが事業成果に結びついている実感は乏しい(「新しい事業・サービスの創出」をAI投資の成果として最も重視する企業は3.7%、同じ項目で成果が出ているとする企業も49.5%で、8指標中の下位にとどまります)。生成の速度が上がったぶん、検証されないアイデアの在庫だけが積み上がっているのではないでしょうか。アイデアが安価に大量に手に入るようになったからこそ、どれを捨てるかを決める力の価値が上がっていると考えます。
成果実感が高かった項目を見ると、「コスト削減」が65.4%、次いで「スピード(リードタイム短縮)」が64.5%でした。今回の調査では、AIが確実に効いているのは「速さ」の領域です。この速さを、アイデアを量産する側ではなく、Go/NoGo判断の速さと、その判断根拠の厚みに充てるべきだと考えます。 顧客に早く確かめ、違ったら早く捨て、そして次に行く。その回転数を上げることにAIを使う。
そして、Go/NoGoを判断するには判断の根拠が要ります。ところが開発領域のAI投資効果について、「判断できる材料(指標・データ)がない」と回答した企業は5.8%にとどまりました。一方で、「データはあるが、経営と開発現場で見ている指標が異なる」は40.7%に上ります。つまり、市場の課題はデータの欠如ではなく指標の不一致であり、足りないのはデータではなく、経営と現場が同じものを見て話せる共通の物差しです。 他社と比較できる経営指標について、「すでに把握している」31.4%と「ぜひ把握したい」57.0%を合わせると88.4%に達し、必要ないと答えた企業は1.2%にすぎませんでした。
本調査の全データ・詳細分析を収録したレポート全文は、以下よりダウンロードいただけます。
レポートのダウンロード:https://go.jp.findy-team.io/l/1092412/2026-09-14/c4pbln
本調査結果データを一部引用・二次利用等される場合は、「ファインディ株式会社調べ」と表記の上、リンクのご協力をお願いいたします。
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2016年に事業を開始した当社は「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」というビジョンを掲げ、ITエンジニア領域における個人・組織それぞれの課題解決に取り組んでいます。
現在は、IT/Webエンジニアの転職サービス「Findy」、ハイスキルなフリーランスエンジニア紹介サービス「Findy Freelance」、経営と開発現場をつなぐAI時代の開発資本プラットフォーム「Findy Team+(チームプラス)」、開発ツールのレビューサイト「Findy Tools」、及びテックカンファレンスのプラットフォーム「Findy Conference」の5つのサービスを提供しています。サービスの累計会員登録数は約29万人、国内外のスタートアップ企業から大企業までの約5,400社にお使いいただいております。(※)
また「技術立国日本を取り戻す」という設立趣意に基づき、2024年のインド進出を皮切りに、現在、韓国・台湾でも「Findy Team+」を展開。企業成長の源泉であるソフトウェア開発において日本発のイノベーションを増やし、世界市場で競争力を持つ日本のIT企業を1社でも多く生み出すことを目指し、まずは当社がグローバルマーケットで通用する企業になることを企図しています。
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